【経験談】在宅介護ってホントにできる?実際に「看取り」を終えてみて

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在宅介護の決断

3年前に亡くなった母を自宅で看取った時の話です。


その日は突然やってきました。
2020年にがんの診断を受けた母は、高齢ということもあり「がんの進行は遅いだろう」という主治医の話から入院も手術もしないという選択をし、自宅で過ごしていました。
しかし、実際にはがんの進行は早く、1年後には全身に転移していることが判明。病院のコロナ対応で「入院すると死ぬまで会えない」と言われ、本人の希望もあり、在宅介護(看取り)に踏み切りました。

在宅介護とは、高齢者や障害者が自宅で生活しながら、介護サービスなどの支援を受けることです。
訪問医療訪問看護訪問介護など、必要に応じた支援があります。

在宅介護のスタート

当時仕事をしていた私は、休暇を取って介護認定の手続きや手配に奔走しました。介護認定には通常申請してから1週間~10日ほどかかるそうです。認定のための面談も順番に役所の人がまわっているので、すぐにできないようです。しかし、幸いにも申請した日の午後に認定員の面談が受けられて、申請から認定まで5日間でした。

その間にもたくさんの人が関わって在宅介護の環境が整っていきました。

・病院のソーシャルワーカーから訪問医療ができる医師の紹介と手配
・地域高齢者サービスからケアマネジャーや介護用品レンタル業者の紹介

介護用品レンタル業者の方が「介護ベッド」や「ベッド回りの必需品」を搬入してくれたのは、認定面談の日の夕方。その場にいた数人で母の部屋のベッドを入れ替えて在宅介護のスタートでした。

「介護休暇」と「介護休業」

介護休暇

在宅介護を始めた当初は「訪問看護師」の方が、母の体調を確認しながら「床ずれ」のケアや「薬の管理」などで午前と午後に訪問してくれていました。私は仕事に出る前に母の昼食を準備して「訪問看護師」さんとの「交換ノート」に母の状態や私の希望などを書き込んでいました。
しかし、母の病状が進むにつれて仕事に行けない日が多くなり、「介護休暇」と「在宅勤務」を並行しながら仕事を続けていました。母は私が家にいることで安心できたようです。

介護休業

「介護休暇」は会社が定めた「有給休暇」で日数に限りがります。「介護休暇」を使い切り在宅勤務にも支障が出てきたので、「介護休業」を取ることにしました。「介護休業」は対象家族1名に付き通算93日まで取得できます(諸条件あり)。取得後は、申請すれば雇用保険から介護休業給付金が支給されます。


母が亡くなったのは「介護休業」を取得し始めて4日目でした。もう少し早く母の介護に専念すべきだったのではないかと後悔しました。

勤めている企業によっても使える制度が変わってきますが、どのタイミングどんな制度を使えるのかを知っておくと「在宅介護」に役立てられます。

在宅介護のメリットとデメリット

メリット

自分の住み慣れた環境で介護を受けることができる
・家族との絆やコミュニケーションが深まる
・介護保険制度や医療保険制度などを利用することで費用を抑えられる
・自分または家族の希望に合った介護サービスや医療サービスを選択できる

デメリット

家族の負担が大きい
・介護サービスや医療サービスの質や量が地域によって差がある
・治療や投薬などすべての判断をしなければならない

次に、費用面に関してまとめました。

在宅介護の費用の内訳

介護サービス利用料

介護サービス利用料とは、介護保険制度のもとで提供されるサービスの利用料金です。訪問介護、訪問看護、訪問入浴、通所リハビリテーション、ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援、介護予防サービスなどがあり、「介護度」と「所得」によって10%~30%の自己負担額となります。利用するサービスの内容にもよりますが、一般的に「介護度」が上がると費用も高くなる傾向にあります。また、介護用品のうちポータブルトイレなどの衛生用品は「レンタル」ではなく「買取」となります。

住宅改修費用

住宅改修費用とは、在宅介護をするために必要な住宅の改修や設備の導入の費用のことです。例えば、手すりの設置、段差の解消、バリアフリー化、トイレ浴室の改修などがあります。住宅改修費用は、介護保険制度のもとで補助金が出る場合があります。補助金の上限額は、一般的には10万円ですが、所得に応じて変わります。また、補助金を受けるためには、事前に居宅サービス計画の作成や申請手続きが必要です。

医療費用

医療費用とは、在宅介護をするために必要な医療の費用のことです。例えば、医療機関の受診費、薬剤費、医療機器費などがあります。医療費用は、医療保険制度のもとで自己負担が発生します。自己負担率は、一般的には30%ですが、所得年齢に応じて変わります。また、医療費の上限額制度や高額療養費制度などの制度を利用することで、自己負担を抑えることができます。

介護保険制度の利用

介護保険制度とは、40歳以上のすべての国民が加入する制度で、介護が必要になった場合に、介護サービスや住宅改修などの給付を受けることができる制度です。介護保険制度の利用には、介護認定を受ける必要があります。介護認定とは、介護の必要度を判定することで、介護度というレベルに分類されます。介護度は、要支援1から要介護5までの7段階があります。介護度が高いほど、給付限度額が高くなります。給付限度額とは、介護保険が支払う上限額のことです。給付限度額は、月額約5万円から約30万円までの範囲です。介護保険制度の利用には、自己負担が発生します。自己負担率は、一般的には10%ですが、所得に応じて変わります。また、給付限度額を超えた場合は、全額自己負担となります。

介護保険制度の利用のデメリットは、介護認定の申請や手続きが煩雑で時間がかかることや、給付限度額に制限があることですが、メリットは、介護サービスや住宅改修などの費用を大幅に減らすことができることです。また、介護保険制度のもとで、介護サービスの提供者や居宅介護支援事業者などの専門家から、介護の相談や計画の作成などの支援を受けることができます。

「在宅介護」を終えてみて

実際に在宅介護をしてみると、多くの人の手を借りて、助けてもらって成り立っていることに気づかされました。訪問医療の主治医は「安心」を届けてくれて、訪問看護の看護師さんは日々の母の状態を把握し、着替えや洗髪などの身の回りを整えてくれる一方で、私の相談にも乗ってくれました。

介護する側の気持ちとしては、どれだけ介護しても満足することはありえないかもしれません。何が良くて何が悪かったのか、正解はわかりません。ただ、母の場合に限って言えば最期まで笑って家族に囲まれていられたことが幸せだったと思います。在宅介護のメリットとデメリットは「誰の」メリットで「誰の」デメリットかを優先して考えることが大切です。

在宅介護をする場合、一人で抱え込まず周り中を巻き込んで、家族や兄弟姉妹、ケアマネジャー、地域の支援センターなどに相談することや分担することがとても重要です。介護する側の心と体の負担を軽減するサービスの利用をお勧めします。

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